自衛隊記

自衛隊入隊と「服務の宣誓」と「しこせきだん」

陸上自衛隊へ入隊

僕が自衛隊に入隊した最初の部隊は、関西のとある場所でした。
広大な演習場、射撃場、陸上自衛隊、航空自衛隊が存在し、自衛隊の街って言われるほど自衛官と自衛隊施設が多い街にある陸上自衛隊に入隊しました。

入隊を決意し、自衛隊の門をくぐるまでは自衛隊に入隊する準備をしていました。
書類の準備や自衛隊の基礎知識の勉強、体力錬成などです。
そしてそれをサポートしてくれたのが、当時の呼び方で「地連のおじさん」(現在は地本のお兄さん、お姉さんですが(笑))にお世話になっていました。入隊までお世話をしてくれ、各県にそれぞれ存在する自衛隊地方協力本部の広報官と呼ばれる自衛官が自衛隊について色々と教えてくれます。

駐屯地の中に案内してもらったり、ヘリコプターや護衛艦などに搭乗させてもらいながら自衛隊入隊を待っていた記憶があります。

この自衛隊地方協力本部と言われる組織は、一般的に人材確保と退職自衛官の就職援護を担っています。地域に密着し地元の情報収集を行いながら人材確保や就職援護に有利な企業を発掘しています。
有事になればどのような運用になるかはわかりませんが、各国の軍事組織にはない日本独自の組織です。

そして自衛隊の門をくぐる日がやってきて、広報官の車に揺られながら駐屯地に到着しました。今では広報官が送迎することはやってないかもしれません。

駐屯地に到着すると、3ヶ月間生活する部屋に案内されます。
このとき、案内をしてくれる自衛官のみなさんが異様なぐらい優しかったのが印象的でした。1週間後の入隊式を終えると、皆さん般若のような顔に変身していましたが(笑)

服務の宣誓

陸上自衛隊は入隊者に対して基本教育訓練期間が6ヶ月あります。そのうち前半の3ヶ月で自衛官として技術的な基本基礎と使命感を学びます。
その後、残りの3ヶ月で専門的な自衛隊の技術を学びます。
僕はその前半3ヶ月間を入隊した駐屯地で過ごしました。

部屋に案内されてから約1周間は準備期間になります。1週間後に入隊式という式典を実施し、初めて自衛官としての入口に入るわけです。
入隊式では、国旗に敬礼、国家を斉唱し、駐屯地司令の訓示を受け、服務の宣誓を読み上げます。
その一連の流れが、自衛官になったという自覚をもたせるわけです。
特に国旗に対して敬礼など、なかなか機会がないからですね
そして、服務の宣誓を読み上げた時には心にジーンとくるものがあります。

内容は以下のとおりです。
私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。
この服務の宣誓を声に出しているときに「自衛官になったんだな」と感じました。

多くの人は服務の宣誓を読み上げて、自衛官へとスイッチングしますが中には、「事に臨んでは危険を顧みず」という部分で違和感を持ち、家に帰って行く人たちもいました。

自衛官の心がまえ(しこせきだん)

また、入隊直後に区隊長(幹部自衛官)から精神教育というマインド育成の授業があり
自衛官の心構え」を教育されました。

この自衛官の心構えには大きく5つのことが書かれています。

使命の自覚
祖先より受けつぎ、これを充実発展せしめて次の世代に伝える日本の国、その国民と国土を外部の侵略から守る。
自由と責任の上に築かれる国民生活の平和と秩序を守る。

個人の充実
積極的でかたよりのない立派な社会人としての性格の形成に努め、正しい判断力を養う。
知性、自発率先、信頼性及び体力等の諸要素について、ひろく調和のとれた個性を伸展する。

責任の遂行
勇気と忍耐をもって、責任の命ずるところ、身をていして任務を遂行する。
僚友互いにに真愛の情をもって結び、公に奉ずる心を基とし、その持ち場を守り抜く。

規律の厳守
規律を部隊の生命とし、法律の遵守と命令に対する服従は、誠実厳正に行う。
命令を適切にするとともに、自覚に基づく積極的な服従の習性を育成する。

団結の強化
卓越した統率と情味ある統合のなかに、苦難と試練に耐える集団としての確信をつちかう。
陸、海、空、心を一にして精強に励み、祖国と民族の存立のため、全力を尽くしてその負託にこたえる。

覚えやすく頭文字をとって「しこせきだん」といっていました。
昇進試験で必ず出題されるからです。

自衛隊ではこの「自衛官の心構え」を実践訓練とともに深く、隊員の心に刻み込むように常日頃から下記のように意識して訓練に励んでいます。

使命の自覚

入隊したての若い隊員には、祖国愛となぜ祖国を守るのかという「使命の自覚」を体で覚えさせます。

個人の充実

気持ちに余裕ができた隊員には積極性強調性が溢れた社会人に育てるとともに、フォロワーシップの大切さを学ばせ「個人の充実」を叩き込みます。

責任の遂行

ある程度経験を積んだ隊員にはリーダーシップが発揮できるように周りがサポートし任務の大切さ、任務を必ず達成する不撓不屈の精神を養うよう「責任の遂行」を自覚させます。

規律の厳守

そして多くの経験を積んだベテラン隊員には規律を厳守させる側に立てるような率先垂範として模範的な隊員となるよう「規律の厳守」を自覚させ、それを後輩に育成させるようにします。

団結の強化

最後に、若手からベテランまでをまとめ、統率力でもってして部隊をまとめ任務を達成するための「団結の強化」を図れる指揮官を育て上げます。

まとめ

このように自衛官の心構えを入隊直後の若年隊員の心に刻み、組織が一枚岩となるべく自衛官としての共通の心構えを醸成させます。

各国から認められている自衛隊の強さの秘訣はこの「自衛官の心構え」を常に実践しているからだと思います。
そしてその教育の方法は普段の行動や発する言葉をもってして徐々に教えるように醸成させていきます。
自衛官としてのマインドを自動化するシステムが組織に脈々と受け継がれているわけです。
その根底にあるのは祖国愛だと僕は考えています。

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