自衛隊記

自衛隊流PDCAサイクル!失敗しないための「AAR」ってなに?

世の中の企業は、自社の成長と生き残りのために経営戦略を打ち立てます。
それは血と汗の努力の結晶で、PDCAサイクルをフル回転させながら企業努力を
絶えず行っていることだと考えます。

僕が自衛官として勤務していた時も、経営戦略ではありませんが、
自衛隊の戦略を絶えず最新のものにすべく改善に次ぐ改善をしてきました。

企業も自衛隊も根本的に「絶対に負けることが許されない」という思想があるからです。
そんな中で、自衛隊は作戦を実行する場合、慎重にそして訓練を積み重ねて実戦に備えていきます。
その為にはPDCAサイクルの考え方を適用し、米軍でも適用されている訓練成果を積み上げて改善していく方法が存在します。

自衛隊が担っているのは、日本国民の方々の生活や生命であり、もし作戦が失敗した場合、
最悪の場合、そこで待っているのは、国家の崩壊です。

つまり自衛隊の戦略とは、その勝負において「絶対に負けることが許されない」という考え方に基づいたものなのです。

「同じ失敗をしないため」に『AAR』というマニュアルを導入し、常に改善しています。
実は、アメリカ陸軍から導入されたみたいで、実戦経験バリバリの方々が考え出した、
失敗しないための「AAR」というマニュアルを紹介できる範囲でシェアしたいと思います。

自衛隊流PDCAサイクル!多くの企業も参考にしているAAR

この『AAR』とは「After Action Review」の略称です。
アメリカ陸軍で行われている、じ後検証プログラムで、現場指揮官から一兵卒まで討議し、
より具体的に部隊の弱点を浮き彫りにしつつ、それを全隊員が共有するという、絶対に負ける事が許されない、軍隊ならではのPDCAサイクルなのです。

自衛隊では、演習などを行った後に必ず行うことが義務付けられており、演習や訓練終了後に即座に行われます。
このAARは、米軍でも同じなのですが、訓練や作戦参加者全員が一カ所に集まり、
司会進行役の人が必ず付きます。

この司会進行者は、公平な立場の人が務め、その現場で起こったことを私情抜きで客観的に意見や質問をします。

その際、司会進行者は参加者に以下の4つの質問をしながら進行します。

「われわれは何をやろうとしたのか?」
行われた作戦・訓練の内容や作戦目的を、参加者全員に確認します。
その際、目的が徹底されていなければ、次にどうしたら、各末端隊員まで作戦の目的を徹底できるのか?という事を考えなければなりません。

「実際に行動した結果、何が起こったのか?」
参加者全員の証言や演習中の記録などを参考に、何が起こったのかを多角的に検証・確認をします。
この際、予測や可能性などは省き、事実のみを徹底して検証します。

「なぜ起こったのか?どうしたら良かったのか?」
なぜこうなってしまったのかを参加者に聞きます。
誰が悪かったなどの個人攻撃や責任追及はせず、なぜこうなったのかの原因の究明に集中し、どうしたら良かったのか?の結論を出します。

「この失敗を踏まえ、次に何をするべきか?」
結論が出たところで、次に何を具体的にするべきかを参加者に聞きます。
注意する点、一人一人の職務の範囲を超えず、自分たちができる具体案を導き出します。

そして、このAARの特徴として、「司会進行者が解決策を指導する」のではなく、「当事者が自ら見つけ出すことにより、要綱な点を持続し、弱点を改善する」ことが挙げられます。

こうすることで参加者がより深く理解し、同じ失敗を繰り返す可能性を下げることができます。

あれ?って思わないですか?
みなさんやっているんですよね。普段から・・・
そうです、居酒屋、ファミレス、喫茶店などで何かのプロジェクト、プレゼン等の
仕事の後に「反省会」と称して。

この「AAR」も実は本質的には同じなのです。「反省会」と!
そして、非常にシンプルで難しく考える必要もありません。

逆に言うと、分かりやすく、シンプルでないと末端隊員まで、理解もしづらいですし、
軍隊という存在は、指揮官の考えが末端隊員まで十分理解していないと、強くなれないのです。

ただ、居酒屋での「反省会」と違うのはお酒が入ってない事と、
より具体的に深堀していきます。深堀していくことで、良い点と悪い点が如実に浮き出てきます。

実際にこのAARは「効果が高い」として、米軍のみならず、アメリカの企業にも多く広まっています。
また、自衛隊もしかり、日本でも取り入れている企業も多々存在します。
具体的な効果としては以下の4つに区分されます。

● 参加者全員がそれぞれの職務における良い点悪い点を素直に認識できます。
● 不十分な記録があっても、討議により具体的化できます。また、再現もできます。
● 良い点悪い点を具体化することにより、次に何をすべきかが明確になります。
● 参加隊者自ら発言、討議することにより、目的を深刻に認識できます。

自衛隊流PDCAサイクル!AARってどんな風にやるの?

そんな居酒屋的反省会のAARなのですが、実際にはどの様に行っているのでしょうか?

司会進行者は、AARの開始に当たり、参加者全員にその目的とルールを徹底しなければなりません。
僕が司会進行者をやるときは以下の2点を強く徹底していました。
参加者自らが考え、発言して、自分たちで将来の解決方法を模索してください
個人攻撃や個人に対する責任の追及は避けてください
の2点です。

AARのざっくり手順

AARの主要構成要素は、以下の4つです。
● 計画の段階では何が起きると考えられていたかを検討します。
● 現場では何が起きたかを明らかにします。
● 生起したものの内、何が良くて、何が改善すべきかを明らかにします。
● 次回は、どのように実施するのかを当事者に決定させます。

上記の4点を踏まえてAARのざっくりとした流れは次の通りです。
(僕の場合ですが)

まずは、AARの意義や守るべきルールを説明します。
次に、時系列に沿って大きな問題点を浮き彫りにさせます。
大きな問題点の認識の統一が出来たら、その問題点に対して、
良かったところ、改善を要するところを討議させます。
それぞれの問題点の結論が出たら、
結論を加味した次の予定を立てます。
そして、結言

こんな感じで司会進行を務めます。

AAR実施にあたり注意する点とコツ

司会進行役はAARの目的達成のために、ルールを決めなければなりません。
一般的には下記の7点について注意しなければなりません。
● 批判及び個人攻撃を排除に注意が必要です。
● 努めて、作戦や訓練直後に行うのがベストです。
● 意図した問題点にAARの焦点を合致させます。
● AARには努めて多くの関係者を参加させ、討議させます。
● 自由に討議できる雰囲気を醸成する必要があります。
● 必ず、強点及び弱点を明確にします。
● 次、何をすべきかを認識させます。

次に司会進行役はAARの目的を達成させるためには次の11点のコツが必要です。
● 必要とされる時のみ討議に参加した方が良いです。
● 事実認識の誤りについてはすぐに補備してください。
● 討議が批判及び指導又は講義に陥ることのないように主導的に誘導してください。
● 自らが学び取ることを重視して、正直な意見を述べる者を激励してください。
● 関係者がお互い気を使うことなく自由討議方式で質疑により進行してください。
● 一般論は回避して、具体的事項に限定してください。
● 参加者に自分自身の言葉で、何が起こったのかを明らかにさせ、何故起こったのかについての討議を進めます。
● 弱点の改善方法を明確に認識させます。
● 研究会の狙いに関係ないことを冗長に述べさせないようにします。
● 常に要約を実施して、討議の要点を明確にすることが大切です。
● 指摘すると、場の空気が悪くなるような人でも率直に指摘しなければなりません。ただ、その人の威徳に対する配慮は必要です。
このように考えると、司会進行者はものすごく大変です。
話術が試されます。

自衛隊流PDCAサイクル!AARのまとめ

いかがでしたでしょうか?
絶対に失敗しないように計画修正を考えろ!なんて言われたら、
プレッシャーがかかると思いますが、
反省会を実施し、それを次に反映させましょう!的な考えだと、
意外に楽な気持ちで臨めると思います。

自衛隊流のAARは、全員で問題点を討議・認識してその改善案も含めて、
全員が認識するというスタンスなのです。

しかしながら、全員が討議できるほどヒマじゃねえよ!
なんて声も聞こえてきそうですが、

実際、僕も自衛官の頃は、全員がAARに参加するような事は稀でした。
それでも、全隊員に認識させなければなりません。

そこで工夫したのが、主要メンバーだけAARに参加させ、他の隊員の意見は、
ペーパーに記載させました。

時にはA5ほどの簡易的なものから、A4でびっちりと記載させるものから様々でした。
そのような意見を次に、問題点ごとや時系列事にカテゴリー区分して、
主要メンバーで討議させて、結論まで導いていました。

でた、結論は掲示板に貼付したりや個人ごと配布したりと認識の徹底を図っていました。
このように、AARの効果は次の改善事項としては絶大です。

PDCAサイクルをどのように実施すれば分からないという若手社員の方は何かの参考にしていただければ幸いです。

個人的にはお客様意見をたくさん集めて、それを問題点事にカテゴリー区分して、
自分が改善できる範囲から徐々に改善提案とその実施を繰り返していけばよいのではないかと考えます。

いすれにせよ、積極的に会社の為、お客様の為に、頭をフル回転させながら日々頑張っていければと思います。

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